[最終更新日]2018年3月28日 15時51分
熊本市の水前寺を水源地とする水道建設計画に対して、江津湖周辺の湧水を灌漑用水として利用していた加勢川下流域町村住民の反対は、ますます強くなりました。
そこで依田市長は、大正五年八月、流域町村が新たに造る元三堰~もとみぜき~(野田堰~のだぜき~)の工事費を市が負担する代わりに、水道建設及び水源の水利関係について、今後異議を申し立てないという契約を流域町村と密かに結びました。
市長は契約締結を極秘としていました。
内務省の布設認可と国庫補助を受けるために、緊急に事態を解決しなければならなかったため、やむを得ず、市議会に諮ることなく契約を締結していましたが、すぐに表面化し、元三堰(野田堰)密約問題として、市議会で追及されることとなりました。
元三堰(野田堰)の工事費負担は、事実上、下流域町村への損害賠償金とみなされ、「水前寺に水源地を設置しても下流域の潅漑用水に影響しない」とした当初の見解と矛盾していたのです。
このことが、水道建設反対運動を続けていた一部の市議会議員に、市長攻撃の絶好の材料を与えることになり、依田市長は窮地に立たされることになります。